オリオン座の三つ星の最も東の星、オリオン座ζ星 (ζ Ori) とその周辺の天体たち。

NGC 2024 & 馬頭星雲
NGC 2024 & 馬頭星雲: 2025/01/26 20:48 JST, NIKON D300 + Vixen R-130S D = 130mm, ISO 1600, f = 720 mm, 88 x 30 sec, Vixen Super Polaris DX 千葉県市川市

太陽より明るくて重い星(太陽の1.3倍から20倍)の5重星(!)であるオリオン座σ星 (σ Ori)。 そして、写真の右側にほのかに赤く広がっているのは散光星雲IC 434。 σ Oriの発する強力な紫外線で電離された周囲の水素原子に、再度電子が結合する際に発せられる光(Hα線: 波長6563Å)が星雲として輝いています。

密度の高い水素ガス雲(暗黒星雲)で生まれた重い星が、その強烈な紫外線で母体となるガス雲を破壊している過程が見えているのです。

その赤い光を遮って、馬の頭のようなシルエットとして見えているのが、暗黒星雲バーナード33(B33)。 馬頭星雲という呼び名で有名です。

右側と比較して明らかに星が少なくなっていることから、左下に広がる暗黒星雲によって背景の星が隠されていることがわかります。 星の数の比較から、暗黒星雲までの距離を推定することもできます(スターカウント法)。 B33までの距離は1,375光年と推定されています。

ζ Oriのすぐ左に見えているのは、炎のような姿のNGC 2024。 火炎星雲と呼ばれています。

星雲の内部には生まれたばかりの星団が埋もれていますが、真ん中を横切る密度の高いガス(暗黒星雲)に隠されて、その姿は可視光では見えません。 暗黒星雲を透過する赤外線やX線の観測から、星団には約800個の星が含まれており、その中心には太陽の10倍以上の重さの星が存在していると推定されています。

オリオン座は、地球に最も近い、重い星が生まれている場所。 さすがに華やかな天体に溢れています!

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