1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が20周年を迎えました。NASAのサイトには20周年を記念して、さまざまな画像がアップされています。

そのうちの一つが、南天の著名なカリーナ星雲の一部を、昨年搭載された新しいカメラWFC3で撮影した右の画像です。カリーナ星雲は太陽の100倍の質量を持つ超巨大星エータ・カリーナといくつかの星団(Tr 14, 16, etc...)が母体のガス雲を蒸発(電離)させながら輝いている南天の印象的な星雲で、ガスの濃い部分を残して薄い部分が選択的に電離していった結果、このような柱状の構造が形作られました。

画像にはハービック・ハロー天体 HH901とHH902が写っています。ハービック・ハロー天体は太陽の二倍程度の星が生まれる時に出すジェットで、画像ではジェットと周囲のガスとの間に発生している衝撃波による傘状の発光も鮮明に見て取れます。
この天体の存在が、今でもここで星が生まれていることを示しています。


打ち上げ当初のピンぼけ問題を初めとして、さまざまな困難を克服して結果を出し続けているハッブル望遠鏡です。近年は老朽化が激しかったものの、2009年5月に大規模な改修を行い、新たに二つのカメラを搭載して活動を続けています。

次世代のJames Webb宇宙望遠鏡との関係も気になりますが、まだまだ現役でがんばって行くんでしょうね。

Updated: