「ボイジャー1号」まもなく太陽系の果てに到達
NASAの探査機ボイジャー1号が太陽系外からの電荷粒子の強度が著しく高い領域に到達したことが、同機から送られたデータから明らかになりました。 ボイジャー計画の研究者たちはこの急速な上昇を、同機が地球からの星間空間への使者として太陽系の果てに到達するという、歴史的な瞬間が迫っている兆候として捉えています。
太陽系と星間空間のイメージ図 |
178億キロ彼方のボイジャー1号から発信され、16時間38分かけてNASAの深宇宙ネットワークのアンテナに到達するデータは、34年前に製造された探査機の二つの高エネルギー望遠鏡により測定された電荷粒子の数を詳細に伝えます。これらの高エネルギー粒子は、比較的近傍にある星が超新星爆発を起こす際に発生したものです。
「2009年1月から2012年1月にかけて、計測される銀河宇宙線量が25%程度まで徐々に増加していました。」とStoneは言います。「最近では5月7日より、一週間で5%、一ヶ月で9%の急激な上昇を記録しました。」
この特筆すべき宇宙線量の増加は、宇宙探査が新たな局面を迎えたことを示す三つの指標のうちの一つです。 探査機の二つの望遠鏡がもたらす二つ目の指標は、太陽圏内で生成された高エネルギー粒子の強度です。 太陽系の境界を越えると、この高エネルギー粒子の強度が急激に減少すると予想されています。 現在のところ、この太陽起源の粒子の強度はゆっくりとした減少を示しているものの、期待される急激な減少は観測されていません。
最後の指標は、探査機の周囲の磁力線の向きの測定において、大きな変化が現れることです。 ボイジャーが太陽圏内にいる間は、磁力線は東西方向に向いていますが、星間空間に入ると、それが南北方向に変わることが期待されています。 このデータの解析には数週間を要します。 ボイジャーチームは現在最新の数個のデータセットを解析している最中です。
「ボイジャーが打ち上げられたのは1977年、宇宙探査が始まってわずか20年が経ったに過ぎませんでした。」とStoneは言います。 「我々のチームの多くは星間空間にたどり着くことを夢見ていましたが、それがいつになるかは未知の状態で、そのために二つの探査機にどれほどの時間とエネルギーを注ぎ込めば良いかわかりませんでした。」
1977年に打ち上げられたボイジャー1号、2号は共に健在です。 ボイジャー2号は太陽から147億キロメートルの彼方にあります。 どちらも、太陽系外縁部を探査するボイジャー星間探査計画の一環として稼働しています。 二機の探査機は、地球から最も遠くはなれた人類の代表であり、探査を継続しています。
ボイジャー探査機はNASAのジェット推進研究所(JPL, カリフォルニア州パサデナ)で製作、運用されています。 JPLはカリフォルニア工科大学の一機関であり、ボイジャー計画は、ワシントンのScience Mission Directorateの太陽物理部門が運営するNASA Heliophysics System Observatoryの一翼を担っています。